【精密根管治療】えっ、根の横からお薬が飛び出している!  …

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【精密根管治療】えっ、根の横からお薬が飛び出している!  他院より「治療が難しい」とご紹介いただきました。

【精密根管治療】えっ、根の横からお薬が飛び出している!  他院より「治療が難しい」とご紹介いただきました。

芦屋の歯科「朝日ヶ丘タカハシデンタルクリニック」院長の高橋です。

他の歯科医院より中学生の女の子の患者様をご紹介いただきました。

小さい頃、転倒した際に前歯を強く打ち、左上の前歯が大きく欠けてしまったそうです。

その時、別の歯科医院で「歯の神経が見えているので神経を抜きますね」と言われ、神経の治療(抜髄処置)を行ったみたいです。

しかし、治療終了後1年以上経過しても歯ぐきを押さえると痛かったり歯の違和感などの症状が定期的に出てくるため、不信に思われた患者様のご家族が他の歯科医院への転院を考えられました。

転院された歯科医院でレントゲン検査を行うと、左上1番がレントゲン上では通常通り根管治療がしっかりと終わっている写真でした。

【精密根管治療】えっ、根の横からお薬が飛び出している!  他院より「治療が難しい」とご紹介いただきました。

しかし、治療終了後の経過とレントゲン写真に何か違和感を覚えた担当の先生がさらにしっかりとした診断をするために歯科用CT撮影をされました。

そうすると、レントゲン写真では神経の治療があたかもうまくいっているような像(根管充填剤が根の中にしっかりと入っている)に見えましたが、CT画像では根の途中で穴が空いて外にお薬が飛び出している状態でした。また、根の先にも大きな影(歯根肉芽腫・歯根嚢胞)が確認されました。

歯科用CT撮影は、レントゲン写真だけでは把握できない3次元的な病巣の把握に非常に有用です。

以前治療された先生が治療中に歯軸方向を勘違いし、歯を削る方向を誤ってしまった可能性が高く、また、神経を抜く治療(抜髄処置)中に細菌が歯の中に入り感染(感染根管)を起こしてしまい、症状が取れなかった可能性が高いことが考えられました。

そちらの先生は通常の根の治療(根管治療)では治らないと判断され、当院にレントゲン写真とCT画像を持参され事前にご相談に来られました。

そこで初めてレントゲン写真とCT画像を拝見致しました。

CT画像では穿孔している場所がかなり根の上部で健全な歯質が少なく治療が困難であることが予想されました。

ただ中学生という年齢も考慮しなければいけません。

この歯が治療に耐えれるかCT上でも判断できませんでしたので、いろいろな場面を想定をしました。

最悪抜歯になってしまった場合、抜歯してブリッジ治療にする方法、成長期が終了するまで義歯(入れ歯)を使用しその後インプラントにする方法(インプラント治療は基本的には顎骨の成長が終了してから行われるので)、この歯を挺出させて健全(健康)な歯質を出してくる方法なども検討しました。

ただ、ブリッジ治療であれば両隣の健康な歯を削らないといけないため年齢的にも歯髄腔(歯の神経・血管の空間)が大きく抜髄処置(歯の神経を抜く治療)を行わないといけない可能性が高いこと、インプラント治療はこの歯の穿孔と根尖病巣のため抜歯後に大きな骨欠損を生じる恐れがあり大規模な骨造成を行わないといけない可能がありインプラント治療も困難を極める可能性が高いこと、健全な歯質があるところまで歯を挺出させる治療法(限局的矯正)では歯のバランスが悪くなる(歯冠ー歯根比が悪くなる。頭でっかちな歯になり歯を支える根の長さが短くなりすぎる)可能性があり難しいことなどが考えられました。

この患者様の場合、この歯を残そうとして治療を開始したともしても穿孔部を十分に修復できない場合や歯根に破折や亀裂がある時は抜歯になるリスクがありました。

患者様と保護者の方にレントゲンやCT画像をもとに、今考えられる治療法およびその予後、保存的治療に対する以下のリスク(危険)を説明しました。

1.治療を開始して唇側の歯質が十分なければ抜歯になる可能があること

2.上(根管内)からのアプローチで出ている根管充填剤が取り出せない場合は外科的歯内療法が必要になること

3.下顎前歯の突き上げがきついため下顎前歯の矯正治療が必要なこと

4.治療がうまくいったとしても、歯の寿命は他の歯より短いこと

以上、本人および保護者の方がご説明内容を十分に理解し納得されたため保存的治療を開始することになりました。

<いよいよ治療の開始です>

 

当院でもまず初めにレントゲンとCT撮影を行い、また歯根破折や歯の動揺がないか歯周組織検査等の精査を行いました。

レントゲンとCT所見以外に根尖部の歯茎をわずかに押さえると違和感がある程度で他に異常所見は認められなかったので治療を開始しました。

まずは、今まで使っていたかぶせを外し、土台のプラスティックを少しずつ慎重に取り除いていきました。

すぐに根管充填剤であるガッタパーチャは確認できましたがオリジナル(本来)の根管を探していきました。まだ若年者のため根管口は成人より大きいので見つけやすいはずですが、思ったところにはなくかなり口蓋側(上あご側)に確認できました。

前歯の場合、歯冠の植立方向より歯根が口蓋側に「バナナ」のように曲がっていることが多く、治療された先生も歯冠の方向のまままっすぐに治療をすすめた結果、穿孔を起こしてしまった可能性が高いと思いました。

オリジナルの根管を探っていくと何度か貼薬(お薬の交換)を行ったのか、ヨード系の匂いとともに黄色の滲出液が溢れ出てきました。

何度か治療に通って頂き、本来の神経管のお掃除(根管拡大)と根管内の根管充填剤の除去を行いました。

しかし、根管外に出てしまっている根管充填剤は頭が見えているもののうまく取り出すことができず、結局根尖部外科をすることとなりました。

<根尖部外科手術>

実際に中を見てみると根管充填剤はすぐにみつかり除去できましたが、根管充填剤周囲には炎症を起こしている不良肉芽があり、それが歯根部の嚢胞と繋がっている状態でした。

最初は根管充填剤の除去のみの予定でしたが、歯根嚢胞の除去も行いました。その際、根尖部より歯石様の石灰化物も同時に摘出されました。

 

<パーフォレーションリペア>

根尖部外科手術の傷の治りを待ち、いよいよ穿孔部修復(パーフォレーションリペア)を行いました。

いつものようにオリジナルの根管を塞がないようにして、MTAセメントで穿孔箇所を塞いでいきました。

この際、穿孔部の大きさが大きかったため吸収性の止血剤を用いMTAセメントの溢出を防ぐメンブレンバリアテクニックを用いました。

 

<オリジナル根管の根管充填>

穿孔部を修復したMTAセメントの硬化を確認し、電気的根管長測定器で漏洩(修復できていない部分)がないか確認しました。

あとは、オリジナルの根管を再度根管拡大し、MTAセメントで根管充填を行いました。

その後、ファイバーコアで土台を立ててかかりつけの先生のところで下顎の矯正に入られました。

右のレントゲン画像は術後約1ヶ月のものです。

特に症状も無く、レントゲンでも歯根膜腔が明瞭化して経過良好です。

しばらくしてCTを撮影し、術後の評価を行っていきたいと思います。

 

度重なる通院と手術お疲れ様でした。

この歯が長持ちするように下顎の矯正も頑張って下さい。

当院でも経過を追っていきます。

この患者様の治療経過のご報告を致しました。

以下の記事をご参照下さい。

【治療経過】続・えっ、根の横からお薬が飛び出している! 

http://www.ashiya-dental.com/blog/post-53/

 

根管治療専門サイト

当院では、専門的に精密根管治療を行っております。
精密根管治療について詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。

詳細はこちらより↓↓↓

https://www.ashiya-dental.com/root.html

 

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