【精密根管治療】(他院)根管治療中の歯が浮く感じが続いている(セカンド・オピニオン)
芦屋の歯科(歯医者)「朝日ヶ丘タカハシデンタルクリニック」院長の高橋です。
今回の患者様は、32歳女性、姫路市よりご来院です。
2023年12月16日初診(セカンド・オピニオン外来)
主訴:右下奥歯の浮くような違和感が続いている。
病歴:約2年前、他院にて虫歯治療を行った右下奥から3番目の歯がレントゲンで根の先に病気(歯根嚢胞)が出来ているのが分かった。痛みは無かったが、根管治療をすすめられ治療を行なった。しばらくは大丈夫でしたが、2023年10月頃にその歯が痛くなり、かかりつけ歯科を受診。そこでは、「レントゲンで根の先の病気と神経管(下顎管!?)が近いので再治療は行わず、抗生剤で様子を見ましょう」と言われた。
しかし、患者様は積極的な治療を希望され、別の歯科医院を受診。その歯科医院にてその歯の治療を開始した。
2回目の治療の際に「歯の根の途中に穴が空いている(ストリップ・パーフォレーション)」と言われた。
そこでは、一度抜歯して根の途中の穴(穿孔部)を修復してから再植する『意図的再植』もしくは、『抜歯』を提案された。
現在の症状は、日により波があるが時々疼く程度である。
当院には、その歯の症状が落ち着いている間に現状どのようになっているか知りたくて、『セカンド・オピニオン』のため来院された。
診察
患歯は、治療中のため補綴物(被せ物もしくは詰め物)は外され、仮封(仮詰め)の状態であった。
デンタルX線写真(レントゲン)を撮影。
レントゲンでは、根管内の充填物が一部残存し、根尖部に透過像(病変)を認めた。
一度、仮封を外してマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)にて根管内の観察を行った。
根管内は出血がひどく、まともに根管内を観察できるような状態ではなかった。
さらに診断の精度を上げるためには『歯科用CT撮影』が必要である旨説明し、了承が得れたためCT撮影を行った。
歯根周囲には歯周ポケットはなく、CT画像では、歯根中央より下方に歯根の断裂(約4〜5㎜)を認め、そこの一部だけ不透過物が残っているようであった。
診断
明らかに治療の際に切削用のバーで穴を空けてしまったような「ストリップ・パーフォレーション(穿孔)」を認めた。ただ、どの時点でストリップ・パーフォレーション(穿孔)が起こったか不明である。また、根尖部にも透過像を認めた。
患者様の主訴である「根管治療中の歯が浮く感じが続いている」理由としては、『ストリップ・パーフォレーション(穿孔)」と『根尖性歯周炎』が原因である可能性が高いとご説明した。
当院での治療は、『根管内からのMTAセメントによる穿孔部の修復(パーフォレーション・リペア)およびオリジナル(本来の)根管の感染源を除去する(根管治療)』をご提案させて頂きました。
(この治療を選択した理由は、「意図的再植」の場合、穿孔部が大きいため抜歯途中で歯根破折するリスクが高いと考えたためです。抜歯途中で歯根破折した瞬間、この歯を保存できる可能性は限りなくゼロに近づくからです。)
ただ、穿孔部の大きさが大きいため、根管内からのアプローチでは完全にMTAセメントによる修復が出来なかったり、治療後過度な咬合圧による修復物(MTAセメント)の脱離も考えられ、予後不良になる可能性もあることを十分にご説明し、納得されてから治療を開始した。
治療
まずは、根管治療を行う際に必要となる壁(健全歯質:健康な歯)が少ないため、周囲からの細菌の流入や薬液の漏出を防ぐ『隔壁』を作成した。
隔壁を作成したら、『ラバーダム防湿』を行い根管の観察を行った。
根管内からのアクティブな出血のため観察が行いにくいため、止血剤を使用し出血点を明示した。
残存しているガッタパーチャは超音波および溶解剤にて除去した。
根管内をできるだけ綺麗になるように薬液にて消毒を行い、まずは穿孔部のみの修復を行った。
穿孔部が大きいため、過度なMTAセメントの逸出を防ぐために、根管外に吸収性止血剤を用い壁を作ってから、MTAセメントにて少しずつ修復を行った。
後日、穿孔部を修復したMTAセメントが十分に硬化していることを確認できたためオリジナルの根管治療を通法に従い行った。
こちらの根管は、ニッケル-チタンファイルを用い機械的清掃をしっかりと行い薬液消毒(化学的清掃)後、MTAセメントを使用して根尖まで緊密に充填した。
その後、フィバーコアにて土台を築成し、仮歯を装着して経過観察を行なった。
経過観察では、自覚症状の確認はもちろんレントゲンとCTでも病巣の大きさの変化を確認します。
こちらの患者様の場合、他の歯の治療もあり、根管充填後3ヶ月、6ヶ月後にレントゲン、CT撮影を行いました。
術直後は、仕事中に違和感を覚えたりしていましたが、レントゲン、CT撮影でも穿孔部および根尖部の透過像も縮小し、自覚症状も消失したため最終補綴処置は移行しました。
現在、術後約1年半以上経過しましたが、定期検診にもお越しいただき特に問題なく経過しております。
この患者様の場合ですが、
通院回数(初診〜経過観察〜治療終了まで)
:12回
*こちらは通院回数や治療回数の目安です。
治療部位や歯の状態により患者様個々により変わります。
治療費(税込)
セカンドオピニオン外来:8,800円
診断料:16,500円
穿孔部修復(パーフォレーション・リペア):33,000円
感染根管治療:99,000円
経過観察:5,500円/回(1、3、6ヶ月)
最終補綴物(ジルコニアクラウン):99,000円
*こちらは治療費の目安です。
患者様の治療部位や状態により治療費が異なる場合がございます。
当院では、むし歯が悪化して死んでしまった歯髄(神経や血管)を取り除く根管治療に力を入れております。根管治療を行うことで、抜歯するしかない歯も抜かずにすむことがあります。また保険外となりますが、生体親和性や封鎖性、抗菌性などに優れた薬を使用した「MTA直接覆髄法」にも対応し、ケースによっては神経を保存することができる場合もあります。歯そのものや歯の神経を残す治療に対応していますので、ご自身の歯をできる限り残したい方は一度相談ください。
根管治療専門サイト
当院では、専門的に精密根管治療を行っております。
精密根管治療について詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。
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